2015年1月19日月曜日

福井県の原発で、フクシマと同程度の事故が起こった場合、どの程度酷いことになるだろうか?

経産省の「有識者」が
「原発比率20%軸に検討…再生可能エネと同程度」(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150116-OYT1T50175.html
などと、寝ぼけたことをいまだに言っている。

原発を推進する人々も、もう原発事故は絶対起こさないとは言わなくなったようで、開き直って「もちろん原発事故をゼロにすることはできない」と、認めるようになった。

では、例えば近畿・中部・北陸圏に近い福井県の原発で、フクシマと同程度の事故が起こった場合、どの程度酷いことになるだろうか?

この危険性を、自覚している人はどの程度いるだろう?何となく、次回起こってもフクシマほど酷いことにはならないのではないかと根拠なく思っている人が多いのではないか。

甘いと思う。

常識的に考えて、私はフクシマの10倍はひどい汚染になるのではと予想する。単純に放射能プルームが人の住む内陸に向かい都市や田畑の上空を覆う「滞在時間」を考えれば、そうなるだろう。10倍では効かないかもしれない。

下記のリンク先のプレゼンのビデオの最初から3〜4分のところにある動画を見て欲しい。→
Teddy R. Holt博士(米海軍研究所 NRL, 2012年)
https://ams.confex.com/ams/92Annual/flvgateway.cgi/id/19836?recordingid=19836


Dr. Holtの動画の1フレーム:いつもは東に流れるプルーム。で、名古屋・静岡の方は福井の原発が過酷事故になっても十分遠いから安心していますか?頭の中で、プルームの平行移動できますよね?これはSPEEDIではないですが、このようなシミュレーションを使って自治体が避難計画をまじめに検討しては、原発事故の際の避難など夢物語だとばれてしまうので、SPEEDIは潰されたのでしょう。潰した理由がナンセンスで、要するに色スケールの値が完全には決まらないというものです。スケールが相対値でも十分にこのように使えますが...


ほとんどの場合は、プルームは風下である海上に流れている。しかし、プルームが一瞬だけ関東に向かう時があったことが動画から見て取れる。茨城や千葉のホットスポットはこの時できた。

つまり、フクシマの場合はプルームの「滞在時間」は9割方が東側の海上にあり、内陸に向かうのはほとんど「一瞬」だった。3.11からの放射能汚染の現状は悲惨だが、あれでも東が海でまだ運がよかったのだと思う。

他のほとんどの原発では、こうはいかない。福井県の原発では東側は海ではなく内陸なので、プルームの滞在時間の比率は逆になる(四国の伊方、九州の玄海や川内原発でも同様だが)。つまり、プルームは9割方内陸へ向かい、雨に遭って都市や田畑、水源地にたたき落とされ、土地を半永久的に汚染する確率もそれだけ高まる。さらに、福島第一から見て、海岸線はほぼ直線。海と陸が占める角度の比率は50:50なのに対し、敦賀原発から見た陸地の占める角度は270度、つまり、3:1で陸方向になる。伊方原発などは、全方位どちらを見ても陸がある。

では、原発の150km程度風下で放射能プルームを受けたら、どの程度の健康被害が出るだろうか?

プルームのほとんどが流れた海上には、国土は無く人は住んでいないので、データは無いと思われるかもしれないが、実は有る。

申し訳ないことだが、米海軍の空母USS Reaganがその「実験」をやってしまった。5500人の乗組員に程度の差こそあれ被爆が起こってしまった。現在その内240人程度が東電などを相手取った集団訴訟を起こしている。乗組員のほぼ5%。今後、もっと増加するだろう。

四方八方どちらの方向にも逃げられる海上で、すぐに回避措置をとったため実際にプルームを受けたのは短時間だろう。さらに、国が言う「原発の準地元」の30km以内にいてプルームを受けたのでなく、少なくとも100km以上は離れていた。それにもかかわらず、これだけの健康被害が出た(ま、今の所は「原因不明の重大な健康被害」としておいても構わないが)。

再稼働も仕方がないと容認する人は、本当に少しでも考えているのか。寝ぼけないでほしい。私は再稼働には絶対反対だ。危険すぎる。「有識者」が20%と言っているらしいが、1%でも多すぎる。

SPEEDIが役に立たないとか、あれこれ嘘の理由で潰されたのは、運用を続けた場合、上記の動画のようなシミュレーションにより、日本各地の原発の周辺300km圏の都市にどれだけの死の灰が落ちるのかが、まるわかりになってしまうからだと、私は思っている。

実際に事故が起こった時には、リアルタイムにはほとんど、自分が被曝する過程を可視化できる以上には役に立たないだろう。避難中の道路で、渋滞と燃料切れで立ち往生中、運良くネットがつながれば、自分の位置をプルームが通過するのを見ることができるだろう。その程度の役には立つ。

しかし、SPEEDIは、過去の実際の気象データを使って、例えば「昨日敦賀原発がフクシマと同程度の事故を起こしていたら、近畿/中部の都市はどの程度死の灰を被っただろうか?」という質問には、高精度で完全に答える能力がある。その用途に使われては、原発の推進には非常に不都合なことは容易にわかる。

そうして、自治体が避難計画を作成する過程で、被曝の被害を上の動画のように目に見える形で数値的にも正確に、まるわかりにしてもらっては困るのだろう。やればやるほど、原発事故からの避難など夢物語だとわかってしまうから。

原発は、少なくとも日本ではそもそも作ったのが間違いであり、現状のまま稼働原発ゼロを続け、いずれ廃炉にするしか、正気の人のオプションは無いはずだ。一機たりとも再稼働するなど、とんでもない無謀な行為だ。

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ENENEWS:
TV: Huge increase in US Navy sailors suffering injury after Fukushima exposure — Gov’t reports show USS Reagan went directly into most intense area of plume just as radioactive releases hit peak

http://enenews.com/tv-huge-increase-navy-sailors-suffering-injury-after-fukushima-exposure-govt-map-shows-uss-reagan-directly-intense-area-plume-radioactive-releases-peaked-beginning-real-data-video

福島第一からのプルームと空母 USS Reagan の位置(ENENEWSから)