2016年2月2日火曜日

SPEEDIは役に立つ - SPEEDI開発者の反論


少しはソフトウエアを開発したことがある者として、SPEEDIが役立たず呼ばわりされ、もう日本の原発事故や放射能漏れには使わないと宣言された時、SPEEDI開発者はなぜ反論しないのか、と不思議だった。

実は反論していたことがわかった。しかし、ごく最近まで知らなかった。一部の例外を除いて、ほどんど報道されなかっただけ。

2014年9月8日(月)に報道ステーションが「SPEEDI 縮小の理由は…」
という番組で扱っているだけで、多くの他のメディアは政府の「役立たず」という発表を鵜呑みにして垂れ流しただけのようだ。しょうもないメディア。

下記の抜粋と元のPDFファイルをぜひ読んでみて欲しい。抑えた書き方になっているが、SPEEDI開発に携わった茅野氏の怒りを感じる。

以下の他にも2、3件のPowerPointスライドのPDFファイルがダウンロードできる。

【追記:
SPEEDIが実際に廃止されるとは思わない。事故があれば、今後もフクシマ時程度には使われるだろうが、一般人が避難の参考にできるタイミングでは、情報は出てこないだろう。

役立たずなので使わない云々の言い訳は、その当時問題になった自治体の避難計画策定でのシミュレーション利用を止めるためだったと思っている。

つまり、事故時の利用でなく、平時である今の利用をとめたいから。

各原発の周辺(いわゆる「立地自治体」でなく、半径数100km))がどんなに広範にトンデモない放射能汚染を受けるかが明らかになっては困るからだ。何が何でも再稼動したいのに、周辺の県や都市に再稼動反対が広まるから。誰だって過去の実際の天候データとフクシマのソースターム(排出量データ)を使った汚染地図を自分の住む場所について見せられれば、即座に反対になるだろう。


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https://www.jrias.or.jp/books/pdf/201409_TRACER_CHINO.pdf

「SPEEDI を真に原子力防災に生かすために」

茅野 政道
Chino Masamichi
Isotope News  2014 年9 月号 No.725
p.22 - 26.

2014.09.08(月) 報道ステーション「SPEEDI 縮小の理由は…」-- via 原発・放射能関連 (ブログ)


ーーー【以下抜粋】ーーー

1. 福島第一原発事故におけるSPEEDI の利用の実態

 福島第一原発事故において,SPEEDI はあらかじめ決められた旧原子力安全委員会の「環境放射線モニタリング指針」に従って,平成23 年3 月11 日の事故当初からその役割を果たしてきた。同指針に記載されているSPEEDI の使用方法を要約すると,以下のとおりである。

 ⅰ)初期段階に放出源情報を定量的に把握することが困難な場合,単位放出量又はあらかじめ設定した値による計算を行い,これを基に, 監視を強化する方位や場所及びモニタリングの項目等の緊急時モニタリング計画を策定する。

 ⅱ)放出源情報が入手できた場合,防護対策を検討するために早期入手が望まれる外部被ばくによる実効線量分布等の図形の作成・配信を行う。

 ⅲ)緊急時モニタリングの結果が得られた場合には,当該結果と予測図形を用いて,防護対策の検討,実施に用いる各種図形を作成する。

 今回の事故では,放出源情報が,原子炉の状態把握などを行う緊急時対策支援システム(ERSS)や排気筒の放射線モニターから入手できなかったため,ⅰ)に従い,3 月11 日の事故直後から緊急時モニタリング計画に資するための単位放出計算を関係各所に提供している。

文部科学省の検証報告書(第2 章)5)によれば,3月15 日に高線量を記録した浪江町山間部のモニタリングは,文部科学省がSPEEDI の単位放出結果に基づき指示したものであり,モニタリング計画に的確に活用されている。

また,緊急時モニタリングの結果が得られるようになった16 日以降は,ⅲ)に従い,モニタリング結果と単位放出のSPEEDI の結果から放出量を逆推定して,3 月23 日までには甲状腺内部被ばく線量の図形作成,引き続きこれに基づく小児の甲状腺被ばくのスクリーニング検査を行う一連の活動がなされた。

さらに,日本原子力研究開発機構はSPEEDI の世界版であるWSPEEDI を用いて,厚生労働省に農作物検査の指標のための東日本の放射能汚染マップを提供している。

 ではSPEEDI の予測情報の精度はどうだったのだろうか。SPEEDI が提供した予測情報は,“定期実行”と“依頼計算”に分けられる。

定期実行は,毎正時に単位量の放出(1 Bq/h)が始まったと仮定して,1 時間ごとの放射性プルームの動きを空間線量率分布等の形で提供したものである。

今回の事故では,3 月11 日16 時から定期実行が開始され,毎正時に関係機関に情報を提供し続けた。

 依頼計算は,旧 原子力安全・保安院の緊急時対応センター(ERC)やオフサイトセンター(OFC)及び旧 原子力安全委員会等が,事象進展に伴う環境影響確認や緊急時環境モニタリング計画の立案,放出量の逆推定とそれに基づく線量評価のために予測条件を指定して行ったものである。

ERC は3 月11 日21 時12 分に配信を受けた予測結果を最初に,3 月16 日までに45 件の予測計算を依頼した。文部科学省でも3月12日 2時48 分を最初に38 件,OFC では3月中に73 件の計算を依頼している。

 筆者は,これらの予測計算の結果と,平成24 年9 月21 日に,福島県がホームページ上で公開した環境モニタリングポストのデータの比較から,当時,SPEEDI が関係機関に提供した情報の時間的適切さや精度を検証した6)。

それによれば,定期実行については,最大2~3 時間の誤差があるものの時々刻々の放射性プルームの動きを時・空間的に俯瞰できている。政府事故調の報告書は,サイト北西地域について,15 日は屋内退避し16 日に避難する等,避難時期の判断にSPEEDI の結果は活用できたとしているが,そのような利用が可能な精度はあったと考えられる。

また定期実行は,ベントや水素爆発による放射性物質の放出,炉内圧力低下の懸念に起因する試計算であるが,3 月12 日の1号機のベントと水素爆発や,15 日の2 号機からの漏えいの影響の空間的な広がりなど,測定結果と極めて近い予測結果が事象発生以前に把握できるものが複数含まれている。福福島第一原子力発電所北西部に大規模な汚染をもたらしたとされる3 月15日を例にとると,15 日6 時頃の爆発音後に,ERC は当時想定された2 号機サプレッションチェンバ破損による影響確認のための計算を依頼し,6 時51 分に結果を受信した。

図1 にSPEEDI から送信された15日9時から24 時間のヨウ素地表蓄積量の分布図と,後に行われた航空機サーベイによるセシウムの地表沈着量分布測定結果の比較を示す。この比較から,当日朝の時点で既に夕方の北西部での地表汚染をSPEEDIが予報できていたことが分かる。

https://www.jrias.or.jp/books/pdf/201409_TRACER_CHINO.pdf

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http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat01/pdf1507/data_03.pdf
http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat01/pdf1507/data_03.pdf スライド28
http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat01/pdf1507/data_03.pdf スライド29



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【他の参考資料】

[1] 茅野 政道 日本原子力研究開発機構(PPT スライド):
「WSPEEDIによるソースターム推定と 汚染拡大プロセスの解明」
20150714 放射線計測フォーラム福島
http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat01/pdf1507/data_03.pdf

[2] 原発・放射能関連 (ブログ)2014-09-11
2014.09.08(月) 報道ステーション「SPEEDI 縮小の理由は…」
http://17enjoylife.blogspot.jp/2014/09/20140908speedi.html

[3] WSPEEDI:東日本におけるCs-137の広域拡散と沈着量分布(2D-動画)
 日本原子力学会2013年春の年会で発表
http://nsec.jaea.go.jp/ers/environment/envs/fukushima/animation5.htm

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